2016.04.15
所属:EY税理士監査法人
役職:シニア・コンサルタント
セクシュアリティ:ゲイ
インタビュー日:2016年02月26日
僕が初めて自身のセクシュアリティを自覚したのは、5歳の時でした。映画の登場人物の男の子を可愛いなと思ったことがきっかけです。
その後、小学3年生の時に初めて好きになったのも男の子でした。周りを見渡しても自分と同じような人がいない中、戸惑いもありました。家族や親戚からは、「彼女できたの」とか、「男らしくしなさい」といつも言われていました。
けれども、17歳の時に転機が訪れました。
当時、僕は親の転勤でタイに住んでいたのですが、インターネットで調べているとアメリカにいるマイノリティ向けのサイトを見つけたのです。
LGBT向けのサイトではありませんでしたが、そこで知り合った管理人の方に自分のセクシュアリティを相談するようになりました。あとから知ったのですが、その方も僕と同じゲイだったみたいです。
それまで友達、学校、社会のニーズに応えなければならないと思い、時には女の子と付き合ったこともありましたが、この出会いがきっかけとなってありのままの自分で良いのだと少しずつ思うようになっていきました。
高校を卒業してから、日本に1年間留学することになりました。
大学でLGBTサークルの新歓に行った時、初めて現実の世界で当事者の仲間が大勢出来ました。そのうち、当事者ではない人にも次第にカミングアウト出来るようになっていきました。
大学1年生の時にある外資系企業のインターンに参加したのですが、たまたま部門のトップがLGBTに対して深い理解のある外国人の方だったんです。おそらく、僕の言動からなんとなく察したのだと思いますが、間接的に「LGBTでも大丈夫だ」と言ってくれたのです。その時初めて、会社でもカミングアウト出来るのかもしれないと知り、嬉しかったですね。
その後、たまたま別の外資系企業が実施していたLGBTの就活生向けのセミナーに参加したことで、LGBTであることをカミングアウトしても働くことが出来るのだと感じました。就職活動の際も、いくつか内定を頂いていたのですがLGBTの取り組みをしているかどうかが最終的な決め手となりました。
僕は今まで4回の転職を経験しました。
1社目は、LGBTフレンドリーの外資系企業だったのですが、入社してまもなく倒産してしまったのです。それまでオープンにして働いていたのですが、2社目の会社ではセクシュアリティを隠して仕事していました。会社の雰囲気から、言わない方がいいと感じたのです。
3社目では再び外資系に近い海外のグローバル・ネットワークの一員である企業に転職しました。ただし、LGBTに関して特に積極的なサポートはありませんでした。
4社目では、同じ社風をもつ外資系文化の企業でしたが、LGBTに対する理解がまだありませんでした。ちょうどその頃社内異動の希望が通りそうだったのですが、同時にEYからもオファーを頂いており、EYではたらく方からLGBTに関して前向きな言葉を貰ったことで、転職を決意しました。
今の会社に転職して、仕事に慣れてきた半年後にはLGBTネットワークの設立に向けて動き出していました。
転職の際にお世話になった弊社の社員の力を借りながら、社内の役員などに説得して進めていきました。
その上で、当事者でなくてもアライの方々がとても前向きな姿勢を示してくれていました。「少しのことが全ての人のためになるから」と言って、時間を割いてネットワーク設立に協力してくれました。
EYグループでは、”Difference Matters(違いを大切にする)”という考えが存在するのですが、それが本当に浸透しているなと感じた体験でした。
個人的な話になりますが、先月男性のパートナーと結婚した際には結婚祝い金と10日間の休暇を頂き、とても嬉しかったですね。
将来を考えた時に、まず「LGBTだから」と考えるのでなく、先に「自分は何がやりたいのか」を考えて欲しいと思います。企業選びの際にも、まずはプロフェッショナルとして何をやりたいのか考え、その上で、LGBTフレンドリーな会社を選んでいって欲しいです。
自分のセクシュアリティを恥であるとか、マイナスだとか思わずに、やりたいこと・できることを全力で頑張って下さい。